2004年 12月 28日 (火)
勝手に復習その2 – 『四月物語』
行定監督が岩井俊二監督のもとで、助監督をしていたのは結構有名なことらしく、この『四月物語』でも助監督:行定勲ってなってます。
田舎から大学入学のため上京してきた女の子の、クラスで自己紹介したり、サークルに勧誘されたり、恋やらなんやらの、可愛らしい四月の物語。希望とか不安とかの心理描写や、なんかこうイマイチ物事が上手いこといかない感じの表現や、あと美しい映像なんかは、気のせいかもしれませんが、行定作品に通ずるところがあるんじゃなかろうか、と思います。
僕も庵治町みたいな辺境の地から関東の大学に進学しましたもので、この映画を観ると、心臓がぎゅんぎゅんし、なにやら甘酸っぱい感覚がします。
田舎育ちのせいか、はたまたただの性格の問題か、一抹の不安を感じつつも、それを忘れさせるほどのデカい希望でうかれきって上京した四月、僕はけっこう何をやってもセンスが悪かったというかなんというか。この色おしゃれなんちゃうん?って買ったカーテンの丈が全然足りなかったりとか。なんか上手いこといかないことが多かったような気がします。まぁうかれてるから上手いこといこうがいくまいが、あんま気にならないんですけど。
上手くいかなかったといえば、まだ学校も始まらず、アパートでぼーっとしてたときのこと。ピンポーンって鳴るから、インターフォンに出たら、「となりの長谷川ですけど引越しのあいさつに来ました」って。しまった東京でもあいさつとかせないかんのや俺なんもあいさつ行っとらんわ、って思って慌ててドア開けたら、おっさんが、「ままっ、これどうぞ」ってビール券やら洗濯の洗剤やらを山ほどくれて、「ままっ、ここにサインを」って、すごい勢いで三ヶ月分の新聞契約を結ばされてしまいました。東京は怖いっス。
以降、東京にいる間、なんども勧誘の人が来ましたが、あれはなんでなんだろう、勧誘に来る人は毎回違うのに、皆決まって強面のヤクザな感じのおっさん或いはお兄さんなんです。田舎者を威圧する、という販売戦略なんでしょうか。
でも二回目勧誘きたときは気合いが入りました。もう新聞は取らん。断固ノーを宣言しよう。二回目に来たヤクザなおっさんも、やっぱり強引に洗剤を僕に押し付け、無理矢理サインさせようとするので、僕は強気に「あんた、それ押し売りだろ」と言ったら「あぁ!?押し売り!!?」っておっさんブチ切れて、でも僕も気が弱いくせに引くに引けず、ドア開けたまま玄関でギャーギャーわめき合いました。殴られるんじゃないかと思った。怖かった。
なんとかおっさんが根負けしてくれて、帰ってくれそうだったので、洗剤を返そうとすると「いいよ!迷惑かけたからやるよ!」とイライラをあらわにしながらも律儀なことを言って、洗剤をくれました。
三回目からは、もう悟りました。強気に出たらいかん。引くべし。とにかく僕はへらへらへこへこ笑いながら、「いやぁ、自分、お金ないんスよぉ」を繰り返しました。自分仕送りないんで、毎日バイト行っててもカツカツなんスよぉ、と田舎出身の気のいい勤労学生を演じ上げ、おっさんの同情を誘い、「そっか、兄ちゃん、大変だな、これからも頑張れよ。これ、やるから使いなよ」と、またただで洗剤をくれました。
以降、僕は百戦連勝。東京で生活している間、新聞も取らずに獲得した洗剤は通産8個。洗剤は自分で買わずにすみました。

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